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休憩時間は社員が継続して働くことによって蓄積される社員の心身の疲労を回復させるためのものですから,労働時間の途中に与えることになるわけで,まだ働いてもなく心身の疲労の回復を図る必要のない始業の直後や,働くことがそれ以上予定されておらず,心身の疲労の回復を図る必要のない終業の直前に与えるときは,労働時間の途中に与えたことにはならなくなるからです。
つまり,労働時間の途中というのは,労働時間の半分の時間に与えることまでは要求されませんが,少なくとも始業の直後,終業の直前に与えないということが必要となります。
始業直後この時間であればどこでも直前終業差し支えありませんまた,休憩時間の分割について,労働基準法は制限していませんので,45分や1時間の休憩時間を労働時間の途中に与える限り,午前10時から15分,正午から30分,午後3時から15分という具合に小きざみに与えることも差し支えないということになります。
さらに,休憩時間の位置について労働基準法は特定することを要求していませんので,毎日同じ時間帯に休憩時間を与えなくても差し支えなく,たとえば月曜日は正午から1時まで,火曜日は午前11時から正午までというように,与えることもできます。
いずれにしろ,わが国の場合は,一般的に休憩時間を分割したり不特定にしたりすることはせず,食事時間を含めて正午前後に特定して与えるのが通常です。
一斉付与の原則休憩時間は,同僚に気兼ねなく休め,心身の疲労を回復するという休憩の効果をあげるために,また企業の労務管理上の便宜を考慮して,事業場単位で全社員に一斉に与えなければならないことになっています(労基法34条2項)。
しかし,労働基準法は,利用客の便宜を考慮して,運送業(8条4号),商業・サービス業(8号),金融保険業・広告業(9号),映画演劇(10号),郵便・電気通信(11号),病院・保健衛生(13号),旅館・飲食・接客娯楽業(14号),官公署(16号)の事業につき,一斉付与の原則を排除しており,交替で休憩時間を別々に与えることができるようにしています(40条,労基則31条)。
また,これ以外の事業を営む企業であっても,所轄労働基準監督署長に「一斉休憩の適用除外」を申請してその許可を受ければ,交替で休憩時間を別々に与えることができます(労基法34条2項ただし書)。
この場合の許可基準としては,交替制で労働させる場合,石油コンビナートや原子力発電所などにおける計器監視その他危害防止上必要なもの,同一事業場でも作業場を異にする場合で,業務の運営上必要なものとされています(昭22.9.13発基17号)。
また,同一作業場内で,社員を2組に分けて時間をずらして休憩させることも,休憩・自由利用が妨げられず,かつ,労働強化にわたることがなく,休憩交替制が計画どおり実施される場合に限り,許可するとされています(昭29.12.10基収6503号)。
自由利用の原則休憩時間が,労働者の権利として労働から離れることを完全に保障されている時間である以上,休憩時間の自由利用は当然のことですが,労働基準法がこのことをわざわざ34条3項に規定したのは,戦中の就業規則に休憩時間中に体操を行うべき旨の規定を設ける企業が多かったことによるとされています。
したがって,休憩時間中に,社員に電話番をさせ,職場に居残らせるようなことをすれば,権利として労働から完全に離れることを社員に保障していないので,休憩時間を自由に利用させたことにはならなくなり,その電話番時間は,手待時間として労働時間となります(昭63.3.14基発150号)。
しかし,時間を自由に利用することができるといっても,それはその時間を自由に利用することができるだけのことであって,事業場内で休憩する場合には,社員は当然事業場の規則保持や施設管理上の制約に服することになるのであって,社員が何をしてもかまわないということまでの自由が保障されているわけではありません。
このことは,最高裁判例においても明らかにされているところであり,昼休みに食堂において上司の反省プレート取外し命令に抗議するビラ配布に関する事案において,休憩時間といえども,社員は「企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約」や「企業秩序維持の要請に基づく規律による制約」に服すると判示しているところです(D公社目黒電報電話局事件・最高3小判昭52.12.13民集31巻7号974頁)。
なお,休憩時間中の外出について,行政解釈は,企業の許可を受けさせることも「事業場内において自由に休憩し得る場合には,必ずしも違法とはならない。」としています(昭23.10.30基発1575号)。
ところで,このような休憩時間の自由利用の原則は,警察官,消防吏員,常勤の消防団,および養護施設など児童のための福祉施設の職員については,その適用が排除されています(労基則33条)。
後者については,労働基準監督署長の許可が必要です。
法定基準を上回る休憩時間の取扱い労働基準法を上回る休憩時間については,前述した原則は適用されず,労働時間の途中に与えても,一斉に与えなくても,自由に利用させなくても差し支えありませんが,就業規則において,その旨を規定せず,労働基準法の法定休憩と同じものとして運用されている場合には,法定休憩と同じ取扱いが労働契約上は約束されているとみられます。
休憩時間を与えない場合は労働基準法上の法定休憩時間または就業規則上の休憩時間を与えないときは,どうなるのでしょうか。
労働基準法上は,119条により6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられることになりますが,最高裁判例は,さらにそれは債務不履行であって,休憩をなしえなかったことによる肉体的精神的苦痛に対する慰謝料の損害賠償責任を企業は負うものであると判示しています(Sm化学工業事件・最高3小判昭54.11.13判タ402号64頁)。
なお,それが手待時間であると認められるときは,その休憩時間が労働時間として使用されたということであり,その手待時間も含めるときは時間外労働になるという場合は,割増賃金の支払も必要となります。
しかし,それが法内残業にとどまるときは,その時間に対する通常の賃金を支払えばよいということになります。
キリスト教国においては,日曜日を安息日とし,仕事を休むのが古い習慣となっていましたが,国際的には,ILOにおいて1921年に「工業的企業における週休の適用に関する条約」(ILO14号)が採択され,工業的企業に使用される社員には,7日の期間ごとに1回の休日が与えられることが明らかにされて以来,休日の週休制という考え方が国際的基準として確立してきました。
欧米では,1950年から60年代にかけて,労働協約によって週休2日制が一般化していましたが,わが国では昭和40年代(1965年)から隔週の週休2日制が大企業を中心に採用され,ようやく今日に至って,週40時間労働制との関係で中小企業でも完全週休2日制を採用する企業が増えてきたというところです。
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